「神戸讃歌」
俺たちのこの街に お前が生まれたあの日
どんなことがあっても 忘れはしない
ともに傷つき ともに立ち上がり、
これからもずっと 歩んでいこう
美しき港町 俺たちは守りたい
命ある限り 神戸を愛したい
想像してほしい。
港から吹く潮風が、スタジアムを揺らす大歓声と混じり合う瞬間を。
真紅に染まったスタンドが、まるで一つの生き物のように脈打つ、あの高揚を。
これは、単なるサッカークラブの歴史ではない。瓦礫の中から生まれ、街の希望をその一身に背負った船の物語だ。絶望の海に沈み、それでも信じ続けた者たちの祈りに支えられ、ついに伝説の宝島へとたどり着いた、我らがヴィッセル神戸の、魂の航海史である。
序章:鉄の街から、約束の港へ (誕生前夜~1994年)
我々の物語の源流は、港町・神戸ではなく、岡山県倉敷市の鉄の街にあった。Jリーグ開幕の熱狂の中、プロ化を夢見た「川崎製鉄水島サッカー部」。その夢は、新たなホームタウンを求める神戸市の熱意と結びつき、運命の船出を迎える。1994年、市民の公募により「勝利(VICTORY)」と「船(VESSEL)」を組み合わせた「ヴィッセル神戸」の名が決定。鉄の意志は、港町の魂へと受け継がれた。
1995年:瓦礫の中から生まれた、復興の旗
【1995年 JFL開幕戦 vs 大塚製薬】(参考メンバー)
この年の開幕戦は震災の影響で記録が散逸しており、シーズンを通しての主力を記します。
GK:石末龍治 / DF:和田昌裕, 渡辺一平, 田中真二 / MF:永島昭浩, 李興実, 岩下潤, 海本幸治郎 / FW:ゲーリー・ジョンソン, ネルソン, 黒崎久志
「クラブが神戸の街の希望の光となり、復興のシンボルとならなければならない」 – スチュワート・バクスター
1995年1月17日、午前5時46分。 クラブ始動のまさにその日、阪神・淡路大震災が街を襲った。夢も希望も、サッカーも、全てが瓦礫の下に消えたかに思えた。だが、神戸は死ななかった。初代監督バクスターのこの言葉を胸に、選手たちは復旧作業に汗を流し、市民は「我々の希望になってくれ」と祈った。この瞬間、ヴィッセルは単なるクラブではなく、「復興のシンボル」という宿命を背負った。その想いは奇跡を生み、この年、ジャパンフットボールリーグ(JFL)で快進撃を続けた。瓦礫の中から、神戸の未来を照らす光が力強く灯った。
1996年:悲願成就、Jリーグへの扉
【1996年 JFL開幕戦 vs 大分トリニティ】
(参考メンバー) GK:武田治郎 / DF:和田昌裕, 公文裕明, 藤崎義孝 / MF:永島昭浩, 千葉恵二, 岩下潤, 江口倫司 / FW:トム・カル、エジミウソン, 葉畑横
Jリーグ昇格という、ただ一つの目標のために戦ったシーズン。前年の勢いをそのままに、着実に勝ち点を重ねていく。特に「ミスター・ヴィッセル」永島昭浩の魂のこもったプレーは、チームとサポーターを鼓舞し続けた。最終的にリーグ2位となり、Jリーグ加盟が見事承認される。震災から2年足らず。絶望の淵から這い上がった神戸の街に、日本最高峰の舞台で戦うクラブが誕生した。スタジアムで、街角で、多くの市民が涙し、喜びを分かち合った。
1997年:Jの荒波へ、夢と希望を乗せた船出
【1997年 Jリーグ 1stステージ 第1節 vs 鹿島アントラーズ】
GK:石末龍治 / DF:渡辺一平, 趙星桓, T・ビッケル, 吉村光示 / MF:M・ラウドルップ, 永島昭浩, 和田昌裕, 海本幸治郎 / FW:ジアード, 栗原圭介
デンマークの至宝、ミカエル・ラウドルップの加入は日本中を驚かせた。彼の芸術的なプレーは我々の誇りだったが、チームはJの厳しい洗礼を浴びる。年間総合16位。Jリーグの壁の厚さを痛感させられたが、最高峰の舞台に神戸の名がある。それだけで胸が熱くなった一年だった。
1998年:存亡をかけた激闘、涙のJ1残留
【1998年 Jリーグ 1stステージ 第1節 vs ヴェルディ川崎】
GK:前田信弘 / DF:フブレロ, アルベルト, 吉村光示 / MF:永島昭浩, M・ラウドルップ, 和田昌裕, 海本幸治郎, ブロウロ / FW:西谷正也, 望月重良
Jリーグの厳しさを骨の髄まで味わった年。低迷の末、年間17位でJ1参入決定戦へ。コンサドーレ札幌との、クラブの存亡をかけた激闘。第2戦、ユニバー記念競技場で永島昭浩が決めた劇的な決勝ゴールは、今も語り継がれる伝説だ。アウェイゴール差で辛くも掴んだ残留。歓喜と安堵の涙が、冬の神戸に溢れた。
1999年:浪速の黒豹、神戸襲来
【1999年 Jリーグ 1stステージ 第1節 vs ジェフユナイテッド市原】
GK:前田信弘 / DF:吉村光示, アルベルト, リュング, 渡邉孝繁 / MF:布部陽功, 海本幸治郎, バロン, 礒貝洋光 / FW:金都根, 永島昭浩
規格外のストライカー、パトリック・エムボマが神戸にやってきた。彼の爆発的な個の力は熱狂を生んだが、チームは「エムボマ頼み」の危うさと同居。ジェットコースターのような戦いぶりで年間10位。残留争いからは脱却したが、心臓がいくつあっても足りないスリリングな一年だった。
2000年:キング帰還と未来のバンディエラ達の産声
【2000年 Jリーグ 1stステージ 第1節 vs FC東京】
GK:前田信弘 / DF:土屋征夫, リュング, 吉村光示 / MF:布部陽功, 和田昌裕, ファビーニョ, 金都根, 永島昭浩 / FW:三浦知良, 望月重良
エムボマが去った穴を埋めるように、あの「キング」三浦知良が帰還。スタジアムは沸いたが、チームは再び下位に沈む(年間13位)。しかし、この年に未来の「ミスター・ヴィッセル」北本久仁衛と、クラブの魂となる田中英雄がプロとしてのキャリアをスタートさせた。苦しみの中に、未来への種が蒔かれた年だった。
2001年:播戸竜二の覚醒
【2001年 Jリーグ 1stステージ 第1節 vs 鹿島アントラーズ】
GK:武田治郎 / DF:土屋征夫, シジクレイ, 吉村光示 / MF:ダニエル, 酒井友之, 佐伯直哉, 吉田孝行 / FW:三浦知良, 播戸竜二, 望月重良
川勝監督の下、若きストライカー播戸竜二が大ブレイク。サポーターを熱狂させた。しかし年間では12位となり、チームとしての結果には繋がらなかった。
2002年:束の間の夢、再びの低迷
【2002年 Jリーグ 1stステージ 第1節 vs コンサドーレ札幌】
GK:武田治郎 / DF:シジクレイ, 土屋征夫, 吉村光示, 朴康造 / MF:三浦淳宏, 播戸竜二, 酒井友之, 吉田孝行 / FW:オゼアス, 三浦知良
前年の躍進から一転、再び苦悩の日々が始まる。元ブラジル代表FWオゼアスを獲得するも、チームは機能せず監督交代が相次いだ。最終順位は14位。Jの舞台の厳しさを改めて痛感させられた。
2003年:トルコの英雄、イルハン狂騒曲
【2003年 Jリーグ 1stステージ 第1節 vs ジェフユナイテッド市原】
GK:掛川誠 / DF:坪内秀介, シジクレイ, サイド・オバイリ / MF:朴康造, 鷲田雅一, ビゼーラ, 平野孝 / FW:オゼアス, 播戸竜二, ハリソン
日韓W杯の英雄、トルコ代表FWイルハン・マンスズの加入で、神戸の街はサッカー史上空前のフィーバーに沸いた。練習場に女性ファンが殺到する社会現象に。しかし、怪我の影響でイルハンは僅か3試合の出場に終わり、チームも13位と低迷。夢のような狂騒曲は、儚く消えた。
2004年:黄金の左足、三浦淳宏の加入
【2004年 Jリーグ 1stステージ 第1節 vs アルビレックス新潟】
GK:掛川誠 / DF:坪内秀介, 北本久仁衛, シジクレイ / MF:三浦淳宏, ビゼーラ, 朴康造, 田中英雄 / FW:ホルヴィ, 播戸竜二, 冨田晋矢
日本代表の「黄金の左足」三浦淳宏が加入。彼の正確無比なフリーキックは我々の大きな武器となった。しかし、チームはまたしても残留争いに巻き込まれ、年間11位。J1に定着して10年近く経つが、いまだ上位の景色は見えてこなかった。
2005年:最初の絶望。涙のJ2降格
【2005年 Jリーグ 第1節 vs サンフレッチェ広島】
GK:本田征治 / DF:坪内秀介, 北本久仁衛, 河本裕之 / MF:三浦淳宏, クノ・ベッカー, 朴康造, 田中英雄, 平岡直起 / FW:レヴィー・クルピ, 我那覇和樹
悪夢。その一言に尽きるシーズンだった。開幕から勝利に見放され、一度も浮上することなく、ついにこの日がやってきた。クラブ史上初のJ2降格。スタジアムは静まり返り、サポーターは涙に暮れた。だが、その中で響き渡った「神戸讃歌」の大合唱は、クラブとサポーターの決して折れない魂の誓いとなった。
2006年:1年での帰還。我々はJ1のクラブだ
【2006年 J2リーグ 第1節 vs ザスパ草津】
GK:榎本達也 / DF:河本裕之, 北本久仁衛, 坪内秀介, 内村圭宏 / MF:三浦淳宏, 朴康造, 田中英雄, 栗原圭介 / FW:レアンドロ, 我那覇和樹
「絶対に1年で戻る」。松田浩監督の下、クラブ、選手、サポーターが一つになった。J2の厳しい戦いの中、栗原圭介のFKや近藤岳登のひたむきなプレーがチームを勇気づけた。最終節を待たずしてJ1昇格を決め、神戸の街に安堵の涙が流れた。我々がいるべき場所は、やはりJ1なのだと。
2007年~2011年:大久保嘉人の時代と、束の間の安定
【2007年 Jリーグ 第1節 vs 清水エスパルス】
GK:榎本達也 / DF:石櫃洋祐, 北本久仁衛, 丹羽大輝, 宮本恒靖 / MF:三浦淳宏, 金南一, 朴康造, 田中英雄 / FW:大久保嘉人, レアンドロ
日本代表のエース大久保嘉人の加入は、チームに確固たる核をもたらした。彼のゴールへの執念はチームを牽引し、2008年、2011年にはクラブ史上最高位を更新。初めて上位争いに顔を出すシーズンも経験し、万年下位クラブからの脱却を誰もが信じた。この間、ネルシーニョ監督が就任し、後の黄金期の礎が築かれ始める。
2012年:再びの悪夢。深すぎた2度目の闇
【2012年 Jリーグ 第1節 vs ガンバ大阪】
GK:徳重健太 / DF:伊野波雅彦, 北本久仁衛, 近藤岳登, 相馬崇人 / MF:野沢拓也, 田中英雄, 三原雅俊 / FW:大久保嘉人, 田代有三, 小川慶治朗
名将・西野朗を招聘し、「今年こそ」と大きな期待を寄せたシーズン。しかし、歯車は序盤から狂い続け、まさかの2度目のJ2降格。一度目の絶望を知るからこそ、二度目の闇はさらに深かった。「なぜ繰り返すのか」。サポーターの怒りと悲しみは頂点に達した。
2013年:夜明けは近い。若き力と再起の誓い
【2013年 J2リーグ 第1節 vs 徳島ヴォルティス】
GK:山本海人 / DF:高橋祥平, エステバン, 北本久仁衛, 相馬崇人 / MF:橋本英郎, 田中英雄, ポポ / FW:小川慶治朗, 田代有三, マジーニョ
安達亮監督の下、若手とベテランが融合。再び1年でのJ1復帰を果たす。二度の絶望を乗り越えた我々の絆は、もはや何があっても揺るがない。この苦しみが、未来の歓喜の伏線であることを、我々は信じていた。
2014年~2016年:楽天マネーとネルシーニョの逆襲
【2014年 Jリーグ 第1節 vs 柏レイソル】
(楽天体制元年)GK:山本海人 / DF:高橋祥平, 岩波拓也, 増川隆洋, 奥井諒 / MF:チョン・ウヨン, 橋本英郎, シンプリシオ / FW:マルキーニョス, 小川慶治朗, ペドロ・ジュニオール
楽天グループが経営権を取得し、三木谷浩史オーナーが「アジアNo.1」を宣言。クラブは新時代へ突入する。ネルシーニョ監督が復帰し、レアンドロが得点王に輝くなど、着実に力を蓄積。2016年には年間7位と過去最高位を更新し、壮大な夢への助走が始まった。
2017年:ポドルスキ襲来。世界の扉が開いた日
【2017年 Jリーグ 第1節 vs 清水エスパルス】
GK:キム・スンギュ / DF:藤谷壮, 岩波拓也, 伊野波雅彦, 橋本和 / MF:高橋秀人, ニウトン, 大森晃太郎 / FW:渡邉千真, レアンドロ, ペドロ・ジュニオール
夏の移籍市場で、ドイツの英雄ルーカス・ポドルスキが加入。ワールドカップ優勝メンバーの左足は、日本中に衝撃を与えた。天皇杯ではクラブ初のベスト4に進出。世界の扉が、音を立てて開き始めた。
2018年:イニエスタ革命。世界が神戸を見た日
【2018年 Jリーグ 第1節 vs サガン鳥栖】
GK:キム・スンギュ / DF:藤谷壮, チョン・ウヨン, 渡部博文, 三原雅俊 / MF:藤田直之, 三田啓貴, 大森晃太郎 / FW:渡邉千真, ルーカス・ポドルスキ, ウェリントン
「クラブが示してくれたプロジェクトに、大きな信頼と魅力を感じた」 – アンドレス・イニエスタ
2018年5月24日。サッカーの歴史が動いた。FCバルセロナの伝説、スペインの至宝、アンドレス・イニエスタが神戸のユニフォームに袖を通した。世界中がこの移籍に驚愕し、神戸の名は一躍世界に轟いた。彼の魔法のパスに、我々は夢を見ているかのようだった。
2019年:夢のトリデンテと、産みの苦しみ
【2019年 Jリーグ 第1節 vs セレッソ大阪】
GK:キム・スンギュ / DF:西大伍, ダンクレー, 三原雅俊 / MF:山口蛍, セルジ・サンペール, アンドレス・イニエスタ / FW:古橋亨梧, ダビド・ビジャ, ルーカス・ポドルスキ
「サッカーが僕にサヨナラを言うのではなく、僕がサッカーにサヨナラを言いたかった」 – ダビド・ビジャ
イニエスタ、ポドルスキに加え、スペイン史上最高のFWダビド・ビジャが加入。夢のトリデンテが結成された。しかし、チームは産みの苦しみを味わい、監督交代を繰り返す。だが、シーズン終盤にチームは結束。ついに天皇杯決勝への切符を掴み取る。
2020年:悲願成就!涙の初タイトル
【2020年 FUJI XEROX SUPER CUP vs 横浜F・マリノス】
GK:飯倉大樹 / DF:西大伍, 大﨑玲央, T・フェルマーレン, 酒井高徳 / MF:山口蛍, A・イニエスタ, S・サンペール / FW:古橋亨梧, ドウグラス, 小川慶治朗
2020年1月1日、新国立競技場。創設25年、震災から25年。ついに、その瞬間は訪れた。天皇杯初優勝。イニエスタが、ビジャが、山口蛍が、そしてスタンドの我々が泣いた。長年の苦しみが報われた、最高の瞬間だった。この勢いで初挑戦のACLでもベスト4に進出。
2021年:史上最高位、古橋亨梧の飛翔
【2021年 Jリーグ 第1節 vs ガンバ大阪】
GK:前川黛也 / DF:山川哲史, 菊池流帆, 小林友希, 酒井高徳 / MF:山口蛍, セルジ・サンペール / FW:郷家友太, 古橋亨梧, 中坂勇哉, ドウグラス
神戸の育成組織が生んだ至宝、古橋亨梧が覚醒。ゴールを量産し、夏にスコットランドの名門セルティックへ移籍。彼の飛翔を誇らしく見送り、チームは一丸となって戦い抜き、リーグ戦3位というクラブ史上最高位を達成した。
2022年:地獄からの生還。奇跡の残留
【2022年 Jリーグ 第1節 vs 名古屋グランパス】
GK:前川黛也 / DF:酒井高徳, 菊池流帆, 槙野智章, 初瀬亮 / MF:山口蛍, アンドレス・イニエスタ, 郷家友太 / FW:武藤嘉紀, 大迫勇也, 汰木康也
豪華な布陣で開幕しながら、まさかの開幕11戦未勝利。J2降格の悪夢が現実味を帯びる、地獄のようなシーズンだった。だが、夏に吉田孝行監督が再登板し、チームは驚異的なV字回復を見せる。最終的には13位でフィニッシュ。あの絶望的な状況からの「奇跡の残留」は、翌年の伝説への序章に過ぎなかった。
2023年:伝説達成!悲願のJ1リーグ初優勝
【2023年 Jリーグ 第1節 vs アビスパ福岡】
GK:前川黛也 / DF:酒井高徳, 山川哲史, 本多勇喜, 初瀬亮 / MF:齊藤未月, 汰木康也, 大迫勇也 / FW:武藤嘉紀, 郷家友太, J・パトリッキ
「このクラブに関わる全ての人たちの力で獲れたタイトルです」 – 吉田孝行
2023年11月25日。創設29年目、神戸の歴史が、日本のサッカーの歴史が変わった日。吉田孝行監督の下、大迫勇也がMVPと得点王に輝く大車輪の活躍を見せ、武藤嘉紀が魂でチームを牽引。スターの個ではなく、全員で戦う「コレクティブ」な強さで、ついに、ついにJ1リーグの頂点に立った。ホーム・ノエビアスタジアム神戸で、サポーターと選手が流した歓喜の涙は、29年間の全ての涙を洗い流してくれた。
2024年:絶対王者、誕生。涙の二冠、そして連覇の偉業
【2024年 Jリーグ 第1節 vs ジュビロ磐田】
GK:前川黛也 / DF:酒井高徳, 山川哲史, マテウス・トゥーレル, 初瀬亮 / MF:扇原貴宏, 山口蛍, 井手口陽介 / FW:武藤嘉紀, 大迫勇也, 佐々木大樹
「追われるプレッシャーは想像以上だった。だが、我々はチャレンジャーの気持ちを忘れなかった」 – 大迫勇也
「王者」として臨むシーズンは、我々が経験したことのない重圧との戦いだった。全てのチームが打倒ヴィッセルに燃え、厳しいマークに苦しんだ。だが、このチームはもう、臆するような集団ではなかった。吉田監督が植え付けた勝利への執念、そして大迫、武藤、山口蛍らベテランが示す王者の矜持。苦しい試合を何度も勝ち切り、夏場を越えてチームは再び加速した。そして、最終節までもつれ込む激闘の末、J1リーグ連覇という偉業を成し遂げたのだ。さらにその勢いのまま、元日の国立で天皇杯も制覇。クラブ史上初の国内二冠を達成した。神戸の街は、前年を上回る歓喜の渦に包まれた。我々は、真の「絶対王者」となったのだ。
2025年:三国統一へ。神戸が描く、新たなる野望
【2025年 FUJI FILM SUPER CUP vs ガンバ大阪】
GK:前川黛也 / DF:酒井高徳, 山川哲史, マテウス・トゥーレル, 本多勇喜 / MF:扇原貴宏, 山口蛍, 井手口陽介 / FW:宮代大聖, 大迫勇也, 武藤嘉紀
二冠王者、そしてJリーグ連覇。名実とも日本の頂点に立ったヴィッセル神戸は、前人未到の領域へと足を踏み入れる。目標はただ一つ、Jリーグ3連覇と、まだ見ぬアジアの頂点。国内のタイトルを全て手にし、次なる野望「三国統一」を目指す。新戦力も加わり、王者としての風格と、挑戦者としての渇きを併せ持つ最強の集団が、今、新たなる航海へと乗り出す。この船の行き着く先が、輝かしい未来であることを、我々は固く信じている。
航海は、決して平穏ではなかった。
歓喜の雄叫びをあげた日もあれば、悔しさに唇を噛み締めた夜もある。
J2への降格という、深く暗い海の底も経験した。
しかし、思い出してほしい。
どんな嵐の中でも、ゴール裏の旗は決して下ろされることはなかった。
どんな逆風の中でも、選手を信じる声が途絶えることはなかった。
その声が、その想いが、選手たちの足を再び前へと突き動かしたのだった。
一度消えかけたかに見えた炎は、より一層強く、激しく燃え上がった。
このクラブは、決して一人では戦わない。
サポーターという名の羅針盤が、常に進むべき道を照らしていたから。
この航海は、まだ終わらない。
我が心の錨よ、神戸に幸あれ。トモニイコウ。



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