スポーツに打ち込む小学生・中学生の皆さん、そしてそれを支える保護者の皆様へ。このドキュメントでは、皆さんの成長と怪我の予防に不可欠な「食」の重要性について、最新の信頼できる情報に基づいて解説します。
成長期のスポーツ選手に「食」が重要な理由
小学生・中学生は、体が大きく成長し、運動能力が著しく伸びる時期です。この時期にスポーツをする子どもたちは、通常の成長に必要な栄養に加えて、運動で消費するエネルギーや、体を強くする材料となる栄養素をより多く必要とします。
適切な栄養摂取は、単にパフォーマンスを向上させるだけでなく、骨や筋肉の健全な発達を促し、疲労回復を早め、結果として怪我のリスクを減らすことにも繋がります。
ジュニアアスリートの食事の基本原則
信頼性の高いガイドラインや研究から、以下の5つの基本原則が特に重要とされています。
- 3食しっかり食べる: 朝・昼・夕の3食を規則正しく摂ることが、必要なエネルギーと栄養素を確保する土台です。特に朝食は、体を目覚めさせ、集中力を高めるために非常に重要ですす。
- バランスの取れた食事: 「主食」「主菜」「副菜」「乳製品」「果物」の5つのグループを意識して、様々な食品から栄養を摂りましょう。
- 主食(炭水化物): ごはん、パン、麺類など。運動の主要なエネルギー源であり、疲労回復にも不可欠です。
- 主菜(たんぱく質): 肉、魚、卵、大豆製品(豆腐、納豆など)。筋肉や骨、血液など体を作る材料になります。
- 副菜(ビタミン・ミネラル): 野菜、きのこ、海藻類。体の調子を整え、怪我の予防や免疫力向上に役立ちます。
- 乳製品: 牛乳、ヨーグルト、チーズなど。骨や歯を強くするカルシウム源です。
- 果物: ビタミンやミネラル、エネルギー源となる糖質を含みます。
- 賢く「補食」を活用する: 3食だけでは必要なエネルギーや栄養素が不足する場合や、練習前後のエネルギー補給、疲労回復のために、補食(間食)を上手に取り入れましょう。
- 練習前: 消化が良く、すぐにエネルギーになるもの(おにぎり、バナナ、カステラなど)。
- 練習後: 糖質とたんぱく質を組み合わせたもの(鮭おにぎりと牛乳、サンドイッチとヨーグルトなど)。運動後2時間以内が効果的です。
- こまめな水分補給: 運動中は汗をかくため、体内の水分が失われます。喉が渇く前に、こまめに水分を摂ることが大切です。水やお茶が基本ですが、長時間の運動や暑い環境ではスポーツドリンクも有効です。
- 好き嫌いをなくす努力: 特定の食品に偏らず、様々な食品を食べることで、必要な栄養素をバランス良く摂取できます。
発育と怪我予防への影響
- 骨の成長と強化: カルシウムやビタミンD、たんぱく質は、骨を強くし、成長を促します。これらが不足すると、疲労骨折などのリスクが高まります。
- 筋肉の修復と発達: たんぱく質は、運動で傷ついた筋肉を修復し、発達するために不可欠です。
- 疲労回復の促進: 炭水化物によるエネルギー補給と、たんぱく質による筋肉の修復は、疲労を早く回復させ、次の練習への準備を整えます。
- 免疫力向上: ビタミンやミネラルは、体の抵抗力を高め、風邪などの病気を予防します。
特に不足しがちな栄養素とその対策
近年の調査や管理栄養士の意見からは、特に以下の栄養素がジュニアアスリートに不足しがちであることが指摘されています。
- たんぱく質: 成長期には体の材料として大量に必要ですが、十分に摂取できていないケースが見られます。肉、魚、卵、大豆製品などを毎食しっかり摂りましょう。
- 鉄分: 運動量が多いアスリート、特に女子選手は、発汗や衝撃による赤血球の破壊(スポーツ貧血)で鉄分が失われやすく、不足しがちです。レバー、赤身肉、ほうれん草、ひじきなどを積極的に摂り、ビタミンC(果物や野菜)と一緒に摂ると吸収率がアップします。
- カルシウム: 骨の成長に不可欠ですが、汗で失われやすく、牛乳や乳製品の摂取量が足りない子どももいます。牛乳、ヨーグルト、チーズ、小魚、小松菜などを意識して摂りましょう。
- ビタミンD: カルシウムの吸収を助け、骨を強くするために重要です。魚(鮭、さんまなど)やきのこ類に多く含まれるほか、日光を浴びることでも体内で生成されます。屋内での活動が多い場合は特に意識して摂取しましょう。
- ビタミン全般: 特にビタミンB群やビタミンCなど、体の代謝や免疫機能に関わるビタミン類も不足しやすい傾向にあります。様々な種類の野菜や果物をバランス良く摂ることが大切です。
- 炭水化物: エネルギー源として最も重要ですが、特に練習量が多い選手は、必要な量を十分に摂取できていないことがあります。主食をしっかり食べ、補食でおにぎりやパンなどを追加して、エネルギー切れを防ぎましょう。
調理のポイント:栄養素を逃さない工夫
せっかく栄養豊富な食材を選んでも、調理法によっては大切な栄養素が失われてしまうことがあります。特に熱に弱いビタミン類(ビタミンC、一部のビタミンB群など)を守るためのポイントを意識しましょう。
- 加熱時間を短くする: ビタミンCなどは熱に弱いため、加熱時間をできるだけ短くすることが重要です。
- 炒め物: 強火で手早く炒めることで、栄養素の損失を最小限に抑えられます。
- 蒸し料理: 蒸すことで、水溶性のビタミンが煮汁に溶け出すのを防ぎ、栄養素を効率よく摂取できます。
- 電子レンジ: 短時間で加熱できるため、栄養素の損失が少ない調理法です。
- 水に溶け出す栄養素に注意: ビタミンCやビタミンB群は水溶性のため、茹でると水に溶け出してしまいます。
- 茹でる場合は少量の水で: 野菜を茹でる際は、水の量を少なくし、短時間で済ませましょう。
- 煮汁も活用する: 汁物にするなど、煮汁ごと食べられる料理にすると、溶け出した栄養素も無駄なく摂れます。
- 生で食べられるものは生で: サラダや和え物など、生で食べられる野菜や果物は、生のまま摂ることで、熱に弱い栄養素をそのまま摂取できます。
- 切り方にも工夫: 野菜を切ってから水にさらす時間を短くしたり、切り口を大きくしすぎないようにしたりすることも、栄養素の流出を抑えるポイントです。
現場で実践するためのヒント
- 保護者との連携: 保護者が栄養の重要性を理解し、協力することが最も重要です。
- 無理なく楽しく: 完璧を目指すのではなく、できることから少しずつ取り入れ、食事が楽しい時間になるように工夫しましょう。
- 専門家への相談: 必要であれば、管理栄養士やスポーツ栄養士に相談し、個別の食事プランを作成してもらうことも有効です。
医療情報に関する免責事項: 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の症状や健康状態に対する医学的なアドバイスを提供するものではありません。特定の健康問題や食事に関する懸念がある場合は、必ず医師や管理栄養士などの専門家にご相談ください。
参考文献・ガイドライン
本記事は、以下の信頼できる情報源を参考に作成しました。
- JFA 栄養ガイドライン
- 公益財団法人 日本サッカー協会 (JFA)
- JFA栄養ガイドライン|選手・指導者向け情報|メディカルインフォメーション|サッカーファミリー
- 日本スポーツ振興センター (JSC) / 国立スポーツ科学センター (JISS) 関連情報
- 日本スポーツ振興センター (JSC)
- Female Sport ナビ (JSC関連)
- 【公認スポーツ栄養士セミナーレポート】ジュニアアスリートの発育・発達のための食事と補食 (SNDJ)
- 森永製菓「ジュニアアスリートのための栄養戦略」関連コラム
- 森永製菓株式会社
- スポーツジュニアの食事メニューの選び方とレシピ (森永製菓)
- ダノンジャパン「ジュニアサッカー選手のための栄養ガイドブック」
- ダノンジャパン(ダノン健康栄養財団)
- ジュニアサッカー選手のための 栄養ガイドブック (ダノン健康栄養財団)
- その他調査・コラム記事


